バナナは妊娠中・授乳中に食べてよいか
確かめた国の資料(食事摂取基準2025年版の妊婦・授乳婦の項と、厚生労働省の妊産婦の食生活指針のリーフレット)に、バナナを避けるよう書いたものは、見つかりませんでした。リーフレットは、授乳中はお酒以外に食べてはいけない食品はない、と書いています。
量の目安は、妊産婦のための食事バランスガイドの「果物」です。妊娠前と妊娠初期は2つ(SV)、妊娠中期と、妊娠末期・授乳期は、それぞれ+1つで3つです。1つ分は約100g、バナナの可食部で中サイズ1本とほぼ同じです。
果物の量(妊産婦のための食事バランスガイド)
| 時期 | 果物の付加量 | 果物(1日) | 重さの目安(1つ約100g) | バナナだけなら(中サイズ・計算) |
|---|---|---|---|---|
| 妊娠前・妊娠初期 | なし | 2つ | 約200g | 約2.2本 |
| 妊娠中期 | +1つ | 3つ | 約300g | 約3.3本 |
| 妊娠末期・授乳期 | +1つ | 3つ | 約300g | 約3.3本 |
厚生労働省のリーフレットの図で、果物は「妊娠前・非妊娠時」が2つ、妊娠初期が付加なし、妊娠中期と、妊娠末期・授乳期が+1です。1つ(SV)の重さは、農林水産省の食事バランスガイドの基準で約100gです。バナナの記載は、リーフレットにも食事バランスガイドにもないので、可食部で重さを比べました。ほかの果物も食べる日は、その分を引いてください(1日に何本まで食べてよいか)。
1本の栄養と、妊娠中・授乳中の付加量
食事摂取基準(2025年版)は、妊婦・授乳婦の量を、妊娠前の基準に足す量(付加量)で示しています。中サイズ1本(可食部約90g)の数字と並べました。付加量は妊娠前の量に足す分なので、1本で満たすかどうかの話ではありません。量の感覚をつかむための比較です。
| 項目 | 1本(計算) | 妊娠中の付加量 | 授乳期の付加量 | 1本は付加量の何%(計算) |
|---|---|---|---|---|
| エネルギー(推定エネルギー必要量) | 約84kcal | 初期+50・中期+250・後期+450kcal | +350kcal | 妊娠 初期167%・中期33%・後期19%/授乳 24% |
| 葉酸(推奨量) | 約23μg | 初期+0・中期後期+240μg | +100μg | 妊娠中期後期 10%/授乳 23% |
| ビタミンB6(推奨量) | 約0.34mg | +0.2mg | +0.3mg | 妊娠 171%/授乳 114% |
| ビタミンC(推奨量) | 約14mg | +10mg | +45mg | 妊娠 144%/授乳 32% |
| マグネシウム(推奨量) | 約29mg | +40mg | +0mg(付加なし) | 妊娠 72% |
表の1本分は、成分表の100gあたりの値に可食部約90gを掛けた計算で、皮つきの重さは仮置きです。付加量は、報告書の357ページ(妊婦)と363ページ(授乳婦)の表から写しました。
付加量がない栄養素:カリウムと食物繊維
| 項目 | 妊婦・授乳婦の基準 | 1本(計算) | 1本の割合 |
|---|---|---|---|
| カリウム(目安量・目標量) | 目安量 2,000mg/日(妊娠前の成人女性と同じ)・目標量 2,600mg以上/日 | 約324mg | 目安量の約16%・目標量の約12% |
| 食物繊維(目標量) | 18g以上/日 | 約1.0g | 約5.5% |
報告書は、食物繊維の目標量について、妊婦・授乳婦が同年齢の非妊娠・非授乳中の女性と異なる量を摂るべきとする根拠は見いだせなかったと書いています。カリウムは、成分表の数字から計算しています。食物繊維と便秘の関係は便秘と食物繊維、カリウムの詳しい数字はカリウムの量にあります。
葉酸の「400μg」は、別の話
食事摂取基準は、妊娠を計画している女性、妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦に、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らすために、通常の食品以外の食品に含まれる葉酸(狭義の葉酸)を1日400μg摂ることが望まれる、と注に書いています。厚生労働省のリーフレットは、妊娠前から妊娠初期の葉酸について、緑黄色野菜を積極的に摂り、サプリメントも上手に活用して、しっかり摂るよう書いています。
バナナの葉酸は、可食部100gで26μgです。400μgの注は「通常の食品以外」の葉酸の話なので、バナナの葉酸は、この400μgには数えられません(編集部の読みです)。
授乳中・食べ方の注意と相談先
リーフレットは、授乳中に特にたくさん食べなければならない食品はなく、お酒以外に食べてはいけない食品もない、と書いています。必要な栄養素は、バランスよく食べて摂るという考え方です。
バナナのアレルギーや、ゴム手袋などで症状が出たことがある人はバナナのアレルギー、離乳食は離乳食にあります。妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病と言われた人、腎臓の病気やカリウムの制限がある人は、バナナの量の指示が先です。かかりつけの産科の医師、助産師、管理栄養士に聞いてください。この面は、個別の食事の助言ではありません。
よくある聞き方と答え
- つわりのときにバナナを食べてもよいですか。
- 確かめた2つの資料には、つわりのときの食べ方は書かれていません。体調が悪いときは、無理をせず、産科の医師や助産師に相談してください。
- 授乳中に、バナナで母乳の出が変わりますか。
- 確かめた資料に、バナナと母乳の量の関係を書いたものはありません。リーフレットは、授乳中に特にたくさん食べなければならない食品はない、と書いています。
- 妊娠中に、バナナを食べ過ぎたらどうなりますか。
- バナナの量の上限を示した国の資料は、確かめられませんでした。報告書は、腎機能が正常でカリウムのサプリメントを使わない場合、食品からのカリウムの過剰摂取のリスクは低いと考えています(カリウムの量)。
出典(2026年11月2日確認)
- 厚生労働省「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」普及啓発用リーフレット(妊産婦のための食事バランスガイド・毎日のための10のポイント。こども家庭庁「すこやか親子21」に掲載)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 対象特性 妊婦・授乳婦の項(356〜364ページ。表1 妊婦の食事摂取基準・表3 授乳婦の食事摂取基準)
- 農林水産省「食事バランスガイド」果物の区分(1つ(SV)の基準・1日の目安)
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース「バナナ 生」(食品番号07107)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 ミネラル(多量ミネラル)カリウムの項(250〜252ページ)
数字は上の資料から写し、計算したものは本文に「計算」「目安」と書いています。資料の記載が変わったときは、確認日とあわせて書き直します。