バナナは便秘によいか(食物繊維の量で確かめる)
バナナ(生)の食物繊維は、可食部100gで1.1g。中サイズ1本(可食部約90g)で約1.0gです。成人の1日の目標量(男性20〜22g以上・女性18g以上、18〜74歳)の約5%にあたります(計算)。
バナナを食べると便秘がどうなるかを調べた国の資料は、確かめた範囲では見つかりませんでした。国の資料が便秘について書いていることは、下にまとめました。
1本の食物繊維と、1日の目標量
食事摂取基準(2025年版)は、食物繊維の目標量を3歳以上に設けています。摂取不足が生活習慣病の発症率や死亡率と関連しているためで、下限だけの「以上」という形です。報告書は、望ましい量は成人で1日25g以上と考えられるが、現在の日本人の摂取量を考えて、これより低く設定したと書いています。
| 年齢 | 目標量(男性) | 目標量(女性) | 摂取量の中央値(男性) | 摂取量の中央値(女性) | 1本が目標量の何%(男性) | 1本が目標量の何%(女性) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 18〜29歳 | 20g以上 | 18g以上 | 11.69g | 10.61g | 約5.0% | 約5.5% |
| 30〜49歳 | 22g以上 | 18g以上 | 12.45g | 11.5g | 約4.5% | 約5.5% |
| 50〜64歳 | 22g以上 | 18g以上 | 13.84g | 13.44g | 約4.5% | 約5.5% |
| 65〜74歳 | 21g以上 | 18g以上 | 16.23g | 16.41g | 約4.7% | 約5.5% |
| 75歳以上 | 20g以上 | 17g以上 | 15.8g | 14.34g | 約5.0% | 約5.8% |
目標量は報告書の144ページの表、中央値は135ページの表1(平成30年・令和元年の国民健康・栄養調査)です。1本分は、成分表の1.1gに、皮つき150gの6割(可食部約90g)を掛けた計算で、皮つきの重さは仮置きです(カロリーと糖質)。妊婦・授乳婦の目標量は18g以上です(妊娠中・授乳中)。
目標量との差を、バナナだけで埋めると
30〜49歳の男性は、目標量22gに対して、中央値は12.45gです。差は約9.6gで、バナナの食物繊維だけで埋めるなら、中サイズ約10本分にあたります(計算)。バナナだけで目標に届かせる食べ方は、現実的ではありません。食物繊維は、いろいろな食品から合わせて摂る量です。成分表のほかの果物との比較はほかの果物との比べ表にあります。
この比べ方には限りがあります。報告書は、目標量も、国民健康・栄養調査の摂取量も、日本食品標準成分表の七訂に相当する測定法で出した値だと書いています。八訂は測定法が変わり、多くの食品で食物繊維の値が高くなっています。この面の1本分は八訂の値なので、中央値や目標量とぴったりそろった比較ではありません。
国の資料が、便秘について書いていること
- 食物繊維の摂取量と排便。報告書は、食物繊維の摂取量が多いと排便頻度が高いこと、食物繊維の投与が慢性便秘に効果的だったことが報告されている、と書いています(132ページ)。一方で、どのくらいの量で便秘の予防や良い変化が認められるかは、研究結果が一致していません。報告書は、その理由を、水溶性か不溶性か、発酵されやすいかどうかで、排便への影響が違うためと考えられる、と説明しています。
- 追加で摂ることについて。成人を対象にした介入試験のまとめでは、食物繊維を追加で摂ると排便回数が増え、便の粘性についても好ましい変化がありました。ただし、測定の指標が研究ごとにそろっていないことが限界とされています。そのまとめでは、1日10g・少なくとも4週間の追加が勧められており、腸にガスがたまるなど症状が悪化した報告もあります。このため報告書は、便秘の重症化予防を目的とした食物繊維の追加摂取は、慎重に判断されるべきだとしています(137ページ)。
- 子どもの場合。便秘は子どもに多い健康の問題の1つです。高食物繊維の摂取が便秘に効果があったとする報告はありますが、いずれも明確な閾値は示されておらず、量的な議論は乏しいと報告書は書いています(134〜135ページ)。
ここに書かれているのは、食物繊維全体についてです。バナナの食物繊維が、排便に特別な働きをするかどうかは書かれていません。
生と乾燥で数字が違う
成分表の食物繊維総量は、バナナ(生)が100gで1.1g、バナナ(乾)が7.0gです(ドライバナナ)。乾燥は水分が少なく、同じ重さで数字が大きくなりますが、食べる量が増えれば、エネルギーやカリウムも一緒に増えます。目標量との比較は、食べる重さに直してから行ってください。
相談したいとき
便秘が続くとき、症状が強いとき、持病や薬があるとき、食事の制限を受けているときは、医師や管理栄養士に相談してください。腎臓の病気でカリウムの制限を受けている人は、バナナの量の指示が先です(カリウムの量)。この面は、診断や治療の助言ではありません。
よくある聞き方と答え
- 食物繊維が多いのは、バナナと乾燥バナナのどちらですか。
- 成分表では、100gあたり生が1.1g、乾が7.0gです。乾燥は水分が少ないので、同じ重さで数字が大きくなります。乾燥30gなら約2.1gです(計算)。エネルギーも一緒に増える点はドライバナナにあります。
- サプリメントで食物繊維を足してもよいですか。
- 報告書は、目標量の算定に使われた研究の多くは、通常の食品に由来する食物繊維で、サプリメントではないと書いています。同じ量をサプリメントで摂っても、同じ健康上の利益が期待できる保証はなく、大量に摂れば大きな利益が期待できる根拠もない、としています。使うかどうかは医師や薬剤師に聞いてください。
- 子どもの便秘には、バナナの本数の目安がありますか。
- ありません。食事摂取基準の食物繊維の目標量は、3〜5歳が男女とも8g以上です。便秘は子どもに多い健康の問題ですが、報告書は、高食物繊維の摂取と便秘についての報告に明確な閾値は示されていないと書いています。気になるときは小児科に相談してください。
出典(2026年11月2日確認)
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース「バナナ 生」(食品番号07107)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書 炭水化物の項(129〜144ページ。糖質の定義129ページ・食物繊維の目標量の考え方と便秘の記述132〜137ページ・目標量の表144ページ)
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース「バナナ 乾」(食品番号07108)
数字は上の資料から写し、計算したものは本文に「計算」「目安」と書いています。資料の記載が変わったときは、確認日とあわせて書き直します。